母が漕ぐ自転車のうしろに乗って、
集落の外れの養鶏場まで卵を買いに行った、
遠い記憶。

夏の午後、
自転車は砂煙を上げて、
未舗装の田舎道を走った。

家に帰ってから、
小さなプラスティックの風呂桶に水を溜めて入り、
暑さをしのいだ。

窓から夕空を眺めると、
明るい星がいくつも見えた。

1970年代前半の話。

今では、パックされた卵しか買わないし、
砂利道もほとんど見ない。

夜の街は明るくなって、
星の数がずいぶん減った。